- ダウンジャケットのクリーニング代、1着3,000円は高い
- 家族分を合わせると1万円超え。なんとか節約したい
- ユニクロのダウンだし、自宅で洗っても大丈夫ではないか
ダウンジャケットの自宅洗濯で最も重要な工程は「洗い」ではありません。
乾燥の工程を間違えると、中の羽毛が団子状に固まり、保温性が失われた「ぺちゃんこのナイロンジャケット」が出来上がります。
一度固まった羽毛を元に戻す作業は、プロでも困難を極めます。

本記事では、クリーニングのプロが実践する「中性洗剤」+「コインランドリー」+「テニスボール」を駆使した、失敗リスクを最小限に抑える洗濯術を解説します。
この方法を実践すれば、クリーニング代を数百円に抑えつつ、ロフト(羽毛の嵩高)を回復させることが可能です。
ただし、手間と時間はかかります。
リスクと手間を天秤にかけ、ご自身に最適な選択をしてください。
本記事で紹介する方法は、家庭でのダウン洗濯を完全に保証するものではありません。
ダウンの素材や状態(経年劣化など)によっては、洗濯により破損・変色・風合いの変化が生じる可能性があります。
大切な衣類や高級ブランド品は、プロのクリーニング店への依頼を強く推奨します。
【判定】自宅洗濯OK?洗えるダウンと洗ってはいけないダウン


すべてのダウンジャケットが水洗いできるわけではありません。
洗ってはいけないダウンを無理に洗うと、生地が縮んだり、表面がボロボロになったりと取り返しのつかない事態になります。
まずは、お持ちのダウンが「自宅での洗濯に耐えられるか」を冷静に判定しましょう。
洗濯表示タグの「桶マーク」を確認


チェックすべきは、桶(おけ)の形をしたマークです。
ここに「×(バツ)」がついている場合、家庭での洗濯は不可能です。
水につけた瞬間、表地のコーティングが剥がれたり、型崩れを起こしたりします。
- 桶に数字(30や40): 洗濯機で洗えます(ネット使用・弱水流推奨)。
- 桶に手のマーク: 手洗いのみ可能です(洗濯機のリスク高)。
- 桶に×(バツ): 自宅洗濯禁止です。クリーニング店へ依頼してください。
見落としがちなのが「素材」の表記です。
タグの素材欄に以下の記載がある場合も、自宅洗濯は避けてください。
- レザー(本革・合成皮革): 水洗いで硬化・ひび割れが起きます。
- ウール・カシミヤ: 縮みやフェルト化の原因になります。
- シルク: 水ジミができやすく、光沢が失われます。
【警告】カビが生えているダウンは洗濯機NG


久しぶりにクローゼットから出したダウンに、白い粉のようなカビが付着していることがあります。
カビを見つけたダウンは、絶対に自宅の洗濯機で洗わないでください。
理由は2つあります。
- カビの胞子が拡散する:洗濯機の水流に乗ってカビの胞子が洗濯槽の裏側に付着します。後日洗うタオルや子供服にカビが移り、家族全員の健康被害(アレルギー等)につながる恐れがあります。
- 根元まで落ちない:表面のカビを洗い流せても、繊維の奥深くに入り込んだ「菌糸」は家庭用洗剤では死滅しません。湿気を含むとすぐに再発し、悪臭の原因になります。



カビを見つけたら、ビニール袋に入れて密封し、カビ除去専門のコースがあるクリーニング店へ持ち込んでください。
ユニクロ「シームレスダウン」の3年寿命


ユニクロの大ヒット商品「シームレスダウン」をお持ちの方は、製造年を確認する必要があります。
シームレスダウンは、縫い目の代わりに「樹脂による圧着加工」で羽毛を閉じ込めています。
製造から約3年で経年劣化(加水分解)により、剥離する可能性が高いのです。
- 購入から3年以上経過している
- 表面にベタつきがある
上記に該当する場合、洗濯機の水流や脱水の遠心力によって、圧着部分が剥がれるリスクがあります。



圧着が剥がれると、中の羽毛がすべて抜け落ちてしまい、修復は不可能です。
「3年以上前のシームレスダウンを洗う」ことは、「駄目にしても構わない」という覚悟がある場合のみ実施してください。
高級ブランド(モンクレール等)のリスク
モンクレール、カナダグース、タトラスなどの高級ダウンジャケット。
高級ダウンは、繊細な高密度ナイロンや特殊な撥水加工が施されています。
市販の洗剤や洗濯機の摩擦によって、以下のトラブルが高確率で発生します。
- 変色・白化: 濃い色の生地が部分的に白っぽく色褪せる。
- ファスナーの破損: 特徴的なロゴ入りファスナー(プラー)が傷つく。
- 資産価値の喪失: メルカリや買取店での査定額が、タグの劣化や型崩れにより著しく低下する。
大切な一着は、高級ダウンの取り扱い実績が豊富な専門店へ依頼してください。
【準備】ダウン洗濯に必須の「洗剤」と失敗しないアイテム


ダウンジャケットの洗濯を成功させる鍵は、洗う前の「道具選び」にあります。
間違った道具を使うと、汚れが落ちないどころか、羽毛の寿命を縮める結果を招きます。
プロの仕上がりを家庭で再現するために、以下のアイテムを必ず揃えてください。
洗剤は必ず「中性洗剤(エマール)」
ダウン洗濯において、一般的な「粉末洗剤」や「弱アルカリ性洗剤」の使用は厳禁です。
ダウン(羽毛)の正体は、水鳥の胸元の羽毛であり、主成分は人間の髪の毛と同じ「ケラチン」というタンパク質です。
羽毛は適度な油分によってコーティングされており、この油分が水を弾き、空気を含んで保温性を生み出しています。
油分を失った羽毛は、パサパサに乾燥し、弾力(ロフト)を失って保温性が著しく低下します。
いわば、髪の毛を強力な石鹸で洗ってギシギシにするような行為です。
代表的な商品は花王の「エマール」やLIONの「アクロン」です。


柔軟剤の使用も避けてください。
柔軟剤の成分が羽毛の表面をコーティングしてしまい、羽毛同士がくっつきやすくなるため、ふんわり感が減少します。
乾燥の秘密兵器「硬式テニスボール」
本記事で紹介する洗濯術の核心となるアイテムが「硬式テニスボール」です。
「なぜ洗濯にテニスボール?」と疑問に思うかもしれません。
この塊をほぐすために、乾燥機の中にテニスボールを一緒に投入します。
乾燥機が回転するたびに、テニスボールが適度な重さでダウンジャケットを叩きます(Beating効果)。



内側から物理的に叩くことで、固まった羽毛を強制的にほぐし、空気を含ませてフワフワの状態に復元させます。
手でパンパンと叩くのとは比較にならない回数と均一さで、羽毛を解きほぐすことが可能です。


必ずスポーツ用品店で販売されている「硬式テニスボール(プレッシャーボール)」を3個ほど用意してください。
100円ショップの安価なサインボール等は、乾燥機の熱でゴムや接着剤が溶け出し、ダウンジャケットに付着する事故が多発しています。
数千円の節約のためにダウンを台無しにしては意味がありません。
汚れの「前処理」
ダウンジャケット全体を水に浸ける前に、汚れが目立つ箇所の「前処理(予洗い)」を行います。
特に汚れやすいのは以下の2箇所です。
- 襟元(首周り): 皮脂やファンデーションが付着しやすい。
- 袖口: 手垢や泥汚れで黒ずみやすい。
ダウンジャケットの表地(ナイロンやポリエステル)は、油汚れを吸着しやすい性質があります。



そのまま洗濯機に入れただけでは、頑固な皮脂汚れは落ちません。
- 洗面器に少量の中性洗剤を出します。
- スポンジや柔らかい歯ブラシに原液を含ませます。
- 汚れている部分に塗布し、優しくトントンと叩くように馴染ませます。
「擦らず、叩いて浮かせる」を意識してください。
【実践】ダウンジャケットの正しい洗い方(手洗い・洗濯機)


準備が整ったら、実際に洗っていきます。
洗い方の方法は「手洗い」と「洗濯機」の2通りありますが、ダウンへの負担を考えると圧倒的に「手洗い」を推奨します。
基本は「手洗い(押し洗い)」一択
最も安全で、失敗が少ない方法は、浴槽や洗濯桶を使った手洗いです。
水流による摩擦がないため、生地や羽毛へのダメージを最小限に抑えられます。
浴槽や大きめのタライに、30度以下のぬるま湯を溜めます。
規定量の中性洗剤を入れ、よく混ぜて泡立てます。
ダウンジャケットを畳んで洗濯液に沈めます。
ダウンは空気を多く含んでいるため、浮き輪のようにプカプカと浮いてきます。
「押す(沈める)」→「離す(浮かせる)」を約20〜30回繰り返します。
中の羽毛に洗剤液を行き渡らせるイメージで、ゆっくりと動かします。


ダウン洗濯での最大の失敗要因は、乾燥不足と「すすぎ不足」です。
水を捨て、新しい水に入れ替えて「押し洗い」ですすぐ作業を繰り返します。
最低でも3回以上、水が完全に透明になり、泡が出なくなるまで徹底的にすすいでください。
洗濯機を使う場合の設定
「手洗いは重労働で大変」「時間がない」という場合は、リスクを承知の上で洗濯機を使用します。
ただし、全自動コースにお任せにするのは危険です。以下の設定を厳守してください。
- 洗濯ネットの使用:ダウンジャケットを綺麗に畳み、大きめの洗濯ネットに入れます。ネットに入れないと、浮き上がったダウンが洗濯槽の上部と擦れて破れる事故が起きます。
- コース選択:「手洗いコース」「ドライコース」「おしゃれ着コース」など、水流が最も弱いコースを選びます。
通常の脱水(5分以上)を行うと、強力な遠心力によって、中の羽毛が片側に寄ってしまい、元に戻らなくなります。
これを防ぐために、プロは以下の手順で脱水を行います。
スタートして1分経ったら、強制停止します。
一度取り出し、濡れたダウンをバサバサと振って、偏った羽毛を均一にならします。
再度ネットに入れ、向きを変えて1分脱水します。
これを計3回行います。
洗濯機任せにせず、脱水中は洗濯機の前で待機し、手動でコントロールしてください。
【最重要】ダウン洗濯は「乾燥機」とコインランドリー活用でふわふわに


「洗ったダウンをハンガーにかけてベランダで干す」
ダウン洗濯の成功は、9割が「乾燥」で決まります。
プロのクリーニング現場でも、ダウンの仕上げには専用のタンブラー乾燥機が不可欠です。



なぜ自然乾燥がNGなのか、そして家庭でプロの仕上がりを再現する「コインランドリー活用術」を解説します。
自然乾燥だけでは「ぺちゃんこ」になる
この状態でハンガーにかけて自然乾燥させると、以下の現象が起きます。
- 羽毛が下に偏る:重力によって、水分を含んだ羽毛が裾(すそ)の方へ移動し、肩や背中の部分がペラペラになります。
- 塊のまま乾く:羽毛同士がくっついた「ダマ」の状態で乾燥してしまいます。羽毛が広がらないため、空気の層ができず、保温性が失われます。
- 生乾き臭の発生:厚手のダウンが自然乾燥で完全に乾くには、晴天でも2〜3日かかります。濡れている時間が長いほど、雑巾のような臭いの原因となる「モラクセラ菌」が爆発的に繁殖します。


「陰干しで数日」という古い常識は捨ててください。
コインランドリー活用術(テニスボール投入)
自宅の小さな乾燥機ではなく、コインランドリーの「ガス乾燥機」を利用します。
大きなドラムの中でダウンを大きく舞わせることが重要です。
ここで、準備していた「硬式テニスボール」の出番です。
コインランドリーの乾燥機には温度設定があります。
ダウンの表地(ナイロン)やファスナーの樹脂部品は熱に弱く、高温(70℃以上)で回すと溶けたり変形したりするリスクがあります。
「低温」がない場合は、乾燥機の扉を触ってみて、熱すぎないか確認しながら慎重に行います。
乾燥機が回転すると、ダウンが持ち上げられて落下する際、テニスボールも一緒に跳ね回ります。
ボールがダウンに何度も衝突し、その衝撃(Beating効果)で濡れて固まった羽毛がほぐされていきます。
まずは10分(約100円)回します。
袖やポケットの内側など、乾きにくい部分を表に出し、再度10分回します。
これをダウンが完全に乾き、ふっくらするまで3〜4セット繰り返します。
注意点として、乾燥終了直後は熱を持っているため、湿気が残っているか判断しにくい場合があります。



乾燥機から出した後、冷めるまで少し待ち、手で触って湿り気がないか最終確認を行ってください。
【トラブル解決】ダウンの洗濯に失敗した時のリカバリーと対処法


- 乾かしてみたら、なんだか臭い
- シミができている
- ボリュームが戻らない
万が一失敗してしまった場合の対処法を紹介します。
生乾き臭・輪ジミが残った場合
乾燥後に「獣臭い」「雑巾のような臭いがする」場合、原因は2つ考えられます。
- すすぎ不足: 洗剤成分が残り、酸化している。
- 乾燥スピード不足: 菌が繁殖してしまった。
また、生地の表面に白い輪のようなシミ(輪ジミ)ができている場合も、洗剤の残留が原因です。
ファブリーズなどの消臭スプレーでは解決しません。
今度は「すすぎ」の回数を倍に増やし、脱水後は直ちにコインランドリーへ持ち込みましょう。
高温殺菌(生地が耐えられる範囲で)を兼ねて一気に乾燥させます。
プロのクリーニング店で「汗抜き加工」や「ウェットクリーニング」を依頼してください。
洗わず臭いだけ取りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。


どうしても「ふわふわ」に戻らない場合
テニスボール乾燥を試しても、ボリュームが戻らずペラペラのまま。
この場合、原因は以下のいずれかです。
- 羽毛の絡まりが深刻: 内部でフェルト状に固まり、解けなくなっている。
- 羽毛の寿命: 長年の使用や今回の洗濯ダメージで、羽毛(ダウンボール)の枝が折れてしまった。
対処法はありません。家庭でできることはやり尽くしました。


「HIRAISHIYA」や「キレイナ」など、ダウンの修理・復元を得意とする特殊クリーニング店へ相談してください。
彼らは専用の機械と技術で、固まった羽毛を一本一本ほぐす技術を持っています。
実はダウンの洗濯はコスパ悪い?「DIY」vs「宅配クリーニング」





「自分で洗えばタダ同然」と考えている方は、一度冷静に計算機を叩いてみる必要があります。
洗剤代、コインランドリー代、そして何より「あなたの貴重な休日」を費やすことを考えると、自宅洗濯(DIY)は必ずしもコスパが良いとは言えません。
コストと手間のシミュレーション
ダウンジャケット1着を洗う場合の実費と時間を、宅配クリーニング(5点パック等を利用した場合の1着あたり換算)と比較しました。
| 項目 | 自宅洗濯(DIY) | 宅配クリーニング(パック利用) |
|---|---|---|
| 金銭的コスト | 約1,000円 (洗剤・水・乾燥機40分・ボール代償却) | 約1,500円〜 (5点〜10点パックの1着単価) |
| 所要時間 | 約4時間 (予洗い・洗濯機・乾燥機往復・見守り) | 15分 (ネットで申し込み・箱に詰めるだけ) |
| 仕上がり | フワフワになるが、シワや型崩れのリスクあり | 新品同様のロフト回復・撥水加工つき |
| 失敗リスク | 大(変色・生乾き臭・破損) | 極小(プロの保証あり) |


差額はわずか500円程度です。
特に「時給」で考えてみてください。
あなたの時間を時給1,000円としても、4時間かかれば実質4,000円の損失です。



経済合理性で言えば、プロに任せる方が圧倒的に「安上がり」なケースが多いのです。


結論:ユニクロはDIY、本命ダウンはプロへ
すべてのダウンをクリーニングに出す必要はありません。
用途と価格帯によって、賢く使い分けるのが正解です。
| ▼自宅で洗うべきダウン(DIY) | ▼プロに任せるべきダウン(クリーニング) |
|---|---|
| ユニクロ、GUなどのファストファッション(定価1万円以下) 子供の通学用や、公園遊びで汚れるダウン。 作業着として使っているダウン 万が一失敗しても「買い替えればいい」と思えるもの | モンクレール、カナダグースなどの高級ブランド 定価3万円以上の「お出かけ用」本命ダウン レザーやファーが付いている特殊素材 「絶対に失敗したくない」大切な一着。 |
まとめ:ダウンは正しい手順なら洗えるが、リスク回避ならプロにお任せ


ダウンジャケットは、正しい手順と道具(中性洗剤・テニスボール・コインランドリー)を揃えれば、自宅でも洗えます。
- 判定: 洗濯表示を確認し、カビや劣化がないかチェックする。
- 洗い: 中性洗剤で優しく押し洗いし、短時間脱水を繰り返す。
- 乾燥: コインランドリーの低温乾燥機で、テニスボールと共に叩き乾かす。
この「テニスボール乾燥」さえ守れば、ペチャンコになる失敗は防げます。
「失敗して泣きたくない」「週末はゆっくり休みたい」という方は、無理せずプロの力を借りてください。
今の宅配クリーニングは、家にいながらスマホ一つで完結し、驚くほど安く利用できます。



